長く商業音楽をやってきて、もっと分かりやすくしてくれというオーダーは山ほど遭遇しました。
それ自体は、自分も伝わりやすい事は重要だと思います。
ただ、分かりやすさって、本当に音楽にとって最優先の価値なんだろうか?
とまあ答えの出ない事が頭をよぎるわけです。
分かりやすい音楽というのは、結構ファストフードとかのイメージがあって、
要するに、みんな好きな味でなければならない。
けど音楽家としてはやっぱり、妙に酸味がキツいけど美味しいとか、苦みが強烈だけど酒に合うとか、そういった事も作りたくなります。
つまり、分かりやすさのプライオリティを抑えても取り組むべき曲はあるのではないか?
100人のうち1人でも取っつきにくいこの曲が必要なケースがあれば、そういった曲の存在がこの時代には大事になってきてないかなと。
ユーザーは分かりやすい音楽を求めているわけではなく、良い音楽が欲しいわけです。
その手段のとても大きな一つの中に分かりやすさがあるだけであり、
手段としては、他に深さ、難解さも当然あるわけです。
特にプロとしてガンガンやるほどそういった分かりやすさが刷り込まれていく傾向がある気がしますが、
誰かの受け売りのように重視する事は一旦立ち止まってみて、
取っ付きにくくても、こういう音楽もありますよ、どうですか?って提案する事は、
自分の仕事のひとつとして探求しても良いのかなと思います。
